第13回
狭い路地で「離合」できれば京都人?

 京都に行くといつも思うのだが、車のすれ違いが難しそうな狭い道がとても多い。
 先日もそんな道をタクシーに乗っていたら、前から車がやってきた。お互いにこのまま進んだらすれ違いは難しかろうと見ていたら、タクシーの運転手さんが相手の車に「そこにいてくれれば“リゴウ”できる」と声をかけた。対向車の運転手も何事もなかったかのようにその場で車を停めたので意味が通じたのであろう。
 リゴウ? 関東人には聞き慣れないことばだが、漢字では「離合」と書くらしい。「離合集散」の「離合」である。意味は、状況から推察できたのだが、どうやら狭い道で車がすれ違うことをいうようだ。ただし、どの辞典を見てもその意味は載っていない。
 東京女子大学の篠崎晃一教授(社会言語学)によると、京都では「離合困難」という看板も立っているそうだ。警察や自動車学校でもごく当たり前に使われる表現らしいが、元来は鉄道用語だというのである。西日本では京都以外、福岡、大分などでもその看板があるという。
 およそ京都弁らしからぬことばであるが、立派な京都弁といってもいいのかもしれない。

参考:Web日本語 篠崎教授の「共通語な方言」

キーワード:

さらに悩ましい国語辞典
―辞書編集者を惑わす日本語の不思議!―

日本最大の辞書『日本国語大辞典』の編集者はまだまだ悩んでいる! 辞書で定義しずらい言葉の悩み辞書にした「悩ましい国語辞典」の第2弾。
そんたく【忖度】[名]「忖」も「度」もはかるという意味。他人の心を推し量ることで「なにか配慮をする」の意味はない。/しんしゃく【斟酌】配慮までする意味なら「忖度」でなく、「斟酌」の方がしっくりする。この語「手加減する」と意味は変化し続け、今、忖度で起きている現象が斟酌でも起きている……

悩ましい国語辞典
―辞書編集者だけが知っていることばの深層―

「日本国語大辞典」の編集担当者を惑わすことばの不思議スリリングに揺れる日本語の深さ! 面白さ満載!
「うがった見方」は「疑ってかかるような見方」ではない/「悲喜こもごも」を合格発表の描写で使うのは誤り/「まじ! 」は、江戸時代の小説に使用例がある/スコップとシャベルはどちらが大きいか?西日本と東日本では違う/「谷」を「や」と呼ぶのは音読みでも訓読みでもない方言/「あばよ」の語源は幼児語の「アバアバ」

ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る