第22回
「大地震」は「おおじしん」か「だいじしん」か?

 9月1日は「防災の日」である。1923(大正12)年のこの日におきた関東大震災と、昔から台風の襲来が多いとされる二百十日にちなんで、1960(昭和35)年に設定された。
 この日は各地で大がかりな防災訓練がおこなわれている。それらはほとんどが将来再びおきる可能性の高い、「大地震」を想定してのもののようだ。「大地震」とは専門的には、マグニチュード7以上のものをいう。
 で、この「大地震」だが、「おおじしん」と読むか「だいじしん」と読むのかで揺れているのである。厳密な調査をしたわけではないのであくまでも印象でしかないのだが、一般には「だいじしん」と読まれることの方が多いような気がする。かくいう筆者も「だいじしん」派だ。
 ところがNHKはどうかというと、「おおじしん」とだけ読むようにしているのである。その根拠として、「おおじしん」の方が以前からの慣用的な読み方だったからと考えているようだ。
 だが、室町時代末期のキリシタン資料である『サントスの御作業』『天草本平家物語』(ともにイエズス会が刊行した活字本)には「だいじしん」の確実な例が確認できる。どうやら、「おおじしん」「だいじしん」は古くから併用されてきたらしい。
 とすると、今やどちらの読みでもかまわないのではないかと思えるのである。

キーワード:

さらに悩ましい国語辞典
―辞書編集者を惑わす日本語の不思議!―

日本最大の辞書『日本国語大辞典』の編集者はまだまだ悩んでいる! 辞書で定義しずらい言葉の悩み辞書にした「悩ましい国語辞典」の第2弾。
そんたく【忖度】[名]「忖」も「度」もはかるという意味。他人の心を推し量ることで「なにか配慮をする」の意味はない。/しんしゃく【斟酌】配慮までする意味なら「忖度」でなく、「斟酌」の方がしっくりする。この語「手加減する」と意味は変化し続け、今、忖度で起きている現象が斟酌でも起きている……

悩ましい国語辞典
―辞書編集者だけが知っていることばの深層―

「日本国語大辞典」の編集担当者を惑わすことばの不思議スリリングに揺れる日本語の深さ! 面白さ満載!
「うがった見方」は「疑ってかかるような見方」ではない/「悲喜こもごも」を合格発表の描写で使うのは誤り/「まじ! 」は、江戸時代の小説に使用例がある/スコップとシャベルはどちらが大きいか?西日本と東日本では違う/「谷」を「や」と呼ぶのは音読みでも訓読みでもない方言/「あばよ」の語源は幼児語の「アバアバ」

ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1500冊以上(総額550万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る