第42回
「梅根性」になっていませんか?

 NHKの朝の連続テレビ小説「てっぱん」にはまっている。最初は、「ふーん、お好み焼きの話か」くらいにしか思っていなかったのだが、小道具をうまく使ったストーリーと、台詞に使われることばの面白さにだんだん惹かれて、いつの間にか毎回見るようになってしまった。
 先日(1月18日放送分)も、「梅根性(うめこんじょう)」ということばを効果的に使っていて、思わず身を乗り出して見てしまった。
 「梅根性」ということばは普通の国語辞典には載っていないのだが、『日国』には立項されている。『日国』によれば、
 「(梅はなかなか酸味を失わないところから)しつこくて、なかなか変えがたい性質。」
とある。ドラマでも言っていたが、意地ばかり張って、自分をかえようとしない意固地(いこじ)な性格のことである。
 この語に対するのが、「柿根性(かきこんじょう)」。やはり、『日国』には項目があり、
「渋い柿がすぐ甘くなるような、変わりやすい性質。融通のきく性質。」
とある。
 「梅根性」「柿根性」ともに江戸時代の用例があり、『日国』にも引用されている。  
 「いやしき諺(ことわざ)にも梅根性、柿根性と申事あり。梅は黒やきにしてもすけ(酢気=酸っぱさ)をあらためず。柿は一夜のあくにてそのまま甘(あまく)なり候」(仮名草子『祇園物語』〔1644年頃〕※一部読みやすくした)

 「てっぱん」は近ごろ珍しい、日本語の面白さを再確認させてくれるドラマだと思う。

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