第43回
関東で「恵方巻」を食べるということ

 近年、この時季になるとスーパーやコンビニの店先で、「恵方巻(えほうまき)」という太巻き寿司の予約ポスターを頻繁に見かける。
 千葉県出身の筆者は、太巻き寿司は食べたことがあるが、「恵方巻」という名称は最近になるまで知らなかった。
 『デジタル大辞泉』によれば、この「恵方巻」は関西地方の風習で、「節分の日に、その年の恵方を向いて食べる太巻き寿司。心の内に願い事をしながら黙って食べると願い事がかなうという」というものだそうである。大阪では江戸時代からあった風習だそうだが、2000(平成12)年ごろから全国に広まったという。どうりで子どものころ食べたことがなかったわけだ。
 「恵方」とはその年の縁起のよいとされる方角で年によって異なる。
 節分といえばまず思い浮かべるのは豆まきであるが、どうやら商魂たくましいスーパーやコンビニによって、関東の鬼もどこかに追いやられてしまったらしい。
 古くからある特定の地方で行われていた風習が、別の地方に伝わるということは、決して珍しいことではない。しかし発祥のはっきりしていたものが広がりすぎて、全国一律で行われるようになるというのはどこか不自然な気がしてならない。別に商売の邪魔をする気はないのだが、古くから伝わるその地方独特の風習は、その地方だけで息づいていてほしいと思うのは筆者だけであろうか。

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