第83回
「寒っ」「すごっ」はTPOをわきまえて

 このコラムでもしばしば参考にさせてもらっているのだが、文化庁の「国語に関する世論調査」の2010年度の調査結果が、9月15日に発表された。放送や新聞などでは直後にその調査結果を取り上げていたのだが、ほぼ共通して話題にしていたのは、「寒っ」「すごっ」「うるさっ」という語幹のみの形容詞の用法であった。
 今回、このような語幹のみで使われる形容詞に対して、実際に使うという人や、自分では使わないが他人がそう言うのは気にならないという人が増えているという調査結果が出たのである。そして、そのことを話題にした記事や放送は、いささか驚きをもって取り上げているような印象を受けた。
 だが、たとえば、「寒っ」に関していえば、すでに江戸時代の滑稽本『浮世風呂』(1809~13)に「なんだなんだ。マア、待な。寒いはな。ちょっと温って聞う。ヲヲ、さむ」とあるように、昨日今日生まれた用法ではない。童唄(わらべうた)の「おおさむ、こさむ、山から小僧が泣いてきた」もそれである。もちろん古い例があればいいというものではないが、このような用法が増えていくのは自然な流れなのだと思う。
 ただひとつ注意しておかなければならないことがある。それは、このような言い方を「自分は使わないし,他人が言うのも気になる」という人がことばによって異なるものの、10~30%近くいるという事実である。
 他人の使用に対しても抵抗を感じる人がいるということは、やはりこのようなことばを使うときは場をちゃんとわきまえて、改まった場面では使用を避けるべきなのだと思う。

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