第95回
順序よりも大事なこと

 まずは問題から。「ホール・ボール・ポールの各語は国語辞典ではどのような順番で並べられているか答えなさい」と聞かれたら、皆さんはすぐにおわかりになるであろうか。
 小学校の学習指導要領では小学3年生で国語辞典の使い方を教えることになっていて、これは実際に小学3年生の国語の教科書に掲載されている内容なのである。
 確かに国語辞典ではこのような見出し語の配列基準を設けている。たとえば筆者が担当した小学生向けの国語辞典『例解学習国語辞典』(第9版)では、「この辞典の使い方」という欄で、
濁音の「が・ざ・だ」などは、清音の「か・さ・た」よりもあとに、半濁音の「ぱ・ぴ・ぷ」などは濁音の「ば・び・ぶ」よりあとにならんでいます。
と断っている。そして、「ホール→ボール→ポール」の順であるという例が示されていて、冒頭の問題の答えはこれである。
 だが、たいていの人はこんな細かな約束事など知らなくても、五十音の順序さえ知っていれば簡単に辞書を引くことができているのではないか。
 なぜこんな細かなことをわざわざ辞書の凡例で書くのかというと、ことばを載せる順序をあらかじめ決めておかないと、ことばの配列がめちゃくちゃになってしまうからなのである。つまり見出し語の並べ方の基準はあくまでも便宜的なもので、こんな決まりが日本語にあるわけではない。だから、この配列基準は辞書によって多少異なっているのである。
 先日も国語辞典のことばの配列の問題がテストに出て子どもができなかったというお父さんから、どういう基準で語の配列を決めているのかというご質問をいただいた。
 こんな細かなことを覚えさせるよりも、子どもには実際にたくさん辞書を引かせるようにしてほしいと思う。そうすれば自然と調べたいことばが簡単に引けるようになるはずなのである。

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