まずは問題から。
 「親切の類義語、コウイを漢字で書きなさい。」
 皆さんはこの「コウイ」をどのように書くであろうか。「厚意」?「好意」?
 実はこれ、実際に小学校でテストに出題された問題なのである。お子さんが「好意」と書いたところ×になり、正解は「厚意」だと言われたという保護者の方から、「好意」では間違いなのかという質問を受けたのである。
 筆者が編集を担当した小学生向けの『例解学習国語辞典 第九版』で「好意」「厚意」を引いてみる。「好意」「厚意」は別の項目になっていて、それぞれ、
 「好意」は「①好ましいと思う気持ち。②親切な心。」
 「厚意」は「親切なあたたかい気持ち。」
と解説されている。どちらにも親切な心(気持ち)とあるように、この2語は「好」「厚」の違いはあるがかなり意味の近い同音類語と言える。
 たとえば「友人のコウイを無にしないようにすべきだ」という文章の場合は、親切かつ思いやりのある気持ちの意味で使われる。したがって冒頭のテスト問題だが、辞書的に言えば「好意」「厚意」どちらでも使えるはずなのである。あえて意味の違いを述べるとすれば、同じ親切心でも「好意」は好ましいと思う気持ちから出たものであり、「厚意」は好ましいと思っているかどうかに関わらず抱く気持ちであるということになろうか。
 もちろんすべての意味が共通しているわけではない。『例解学習国語辞典』でも「厚意」の補注として「自分の気持ちをいう時には使わない」とある。だから「彼にコウイを抱く」の場合、「厚意」を使うのは適切ではないと言うことになる。
 「好意」「厚意」は文脈によっては使い分けられる語だが、意味するところはかなり近い。なので、この漢字をテスト問題にするときは、できるだけ文章の中で、どちらを書くのが適切か判断させるような形式の問題にして欲しいと思う。

キーワード:


ジャパンナレッジは、日本有数の百科事典や辞書類がもつ膨大な知識情報を収録したオンライン・データベースです。

※2026年8月時点

日本語や歴史を深く掘り下げている事典から、英語や各外国語辞書、東洋文庫などの叢書まで、あらゆる項目の一括検索が可能です。ほしい知識に素早くたどり着ける自分だけの図書館です。

登録後すぐにお使いいただけます