リサイクルショップ、新古書店、古着屋、ネットオークション。いまどきは「見知らぬ他人が使ったモノ」を購入する機会が多くなった。必ずしも「新品が買えないので中古を利用する」のではない。それなりに生活に余裕があっても、手ごろな価格帯に魅力を感じている様子だ。長引く不況と、エコライフブームの影響も考えられるだろう。
 「生産→消費」と、新商品が流通する過程を血管の動脈にたとえるならば、「消費→再利用」という道をたどる中古の品はいわば「静脈」の側にいる。粗大ごみの廃棄にもお金がかかる昨今、「売る側」も積極的(買い取り額がいくら安くとも!)なため、中古市場がうまく流れているといった構図もある。そこで、「静脈」を賢く利用しながら暮らす消費者が注目されてきた。「静脈生活者」の誕生というわけだ。
 ただ、ここで注意すべきは、「動脈」の側が機能不全を起こしていれば、「静脈」も立ち行かなくなるということ。モノのジャンルにもよるが、中古が新商品の売れ行きに影響を与えているのでは、という各業界の心配は昔からある。


 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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