明らかにウィンドーショッピングという様子ではなく、熱心に商品を吟味しているお客が、結局は何も買わず店から去ってゆく。このような光景はもはや珍しくはない。帰宅してから、実物を見て心に決めた品を、インターネット上のショップで店頭よりも安く購入しているのである。実際の店舗を「展示場(ショールーム)」のように捉える、この消費行動が「ショールーミング」だ。
 背景には、家電などの価格を比較するサイトや、いまや「時流に乗った」ネットショップ同士の激しい価格競争がある。加えて、スマートフォンの普及も大きい。気に入った目の前の商品を即座に検索できる。ネットという強力なライバルの出現に対して、小売店は危機感をつのらせるばかりだ。今後の店舗経営で重要なのは、「実際のお店を利用したい」と思わせる「何か」。家電量販店を例にとると、修理や保証などの安心感、接客の温もり、プライベートブランド(自主企画商品)などの強みを生かしていく対策が挙げられている。はたして巻き返しはなるだろうか。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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