AKB48は秋元康のプロデュースで2005年12月に誕生した。CD総売上が2000万枚を突破(オリコン調べ)した日本最大の女性アイドルグループである。このグループには秋元による厳しい「恋愛禁止条例」が科せられている。
 メンバーの写真集を出したいと出版社が殺到しているため、AKBスキャンダルは『フライデー』でも載せられない“芸能界最大のタブー”とまでいわれる。
 唯一の例外は『週刊文春』(以下『文春』)で、これまでも数々のAKB恋愛スキャンダルを報じ、そのために脱退させられたり地方へ飛ばされたメンバーが多くいる。
 その『文春』(2/7号)が、昨年の総選挙で14位に順位を上げ、見事選抜メンバー入りした峯岸みなみ(20)の「お泊まり愛を撮った!」と報じた。
 『文春』によれば、
 「相手の男性は白濱亜嵐(しらはま・あらん、19)。人気グループEXILEの弟分、昨年メジャーデビューした『GENERATIONS(ジェネレーションズ)』の人気メンバーだ。
 『まだまだ名前も知られていない白濱ですが、昨年はドラマ「GTO」や「ろくでなしBLUES」に出演。秋の深夜ドラマ「シュガーレス」では主役をつとめました』(芸能デスク)」
 1月17日0時9分、亜嵐が住むマンションの部屋に、黒い帽子に黒パンツ、コートをまとった峯岸が入っていった。部屋の電気が消えたのは3時間後。それからさらに4時間後に亜嵐が出てきた。30分後に峯岸が出てきてタクシーを止め、途中コンビニで朝食の椀物とダイエットコーラを買って自宅へ戻ったと『文春』は報じている。
 この記事が出てから大騒ぎになり、2月1日の朝日新聞(デジタル版)までがこう報じている。
 「AKB48の峯岸みなみさん(20)が、動画サイト『ユーチューブ』に丸刈り姿で登場、涙の謝罪をした。一体何があったのか。
 『たくさんの皆様にご心配をおかけしまして、本当に申し訳ありません』
 映像は1月31日午後、同サイトのAKB公式チャンネルで公開された。ロングヘアだった峯岸さんが丸刈り姿で冒頭に謝罪の言葉を述べ、約8秒間頭を下げた。『私がしてしまったことは軽率で自覚のない行動』『まだ……頭の中が真っ白で』と言葉をつなぐ。不ぞろいな額の生え際が生々しい。『いてもたってもいられず(略)誰にも相談せずに坊主にすることを自分で決めました』と、左目から涙がこぼれた。大粒の涙を流し、『AKBをやめたくない』と訴え3分49秒の動画は終わる」
 『文春』は2/14号でも、総選挙で第3位の柏木由紀の「Jリーガーとの『深夜合コン』」を報じている。ちなみに「合コン」もAKBでは御法度である。
 実質的に「恋愛禁止条例」は有名無実になってきている。私見だが、健全な肉体をもった若い娘が異性と付き合うのはごく自然な行動であろう。なまじ禁止するから夜陰に乗じて不善を為すのだ。
 『文春』(2/14号)で元メンバーたちがこういっている。
 「もともとあってないようなルールだし、バレたら終わり、バレなければOK。それだけですよ」

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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