群馬県渋川市にある金井東裏遺跡の注目度が高まっている。古墳時代の後期に当たる6世紀はじめ、榛名山二ツ岳の噴火によって埋もれた遺跡だ。近くには「日本のポンペイ」と呼ばれる黒井峯(くろいみね)遺跡もある。こちらも同山の噴出物の下に、集落がまるごと残っていた貴重なものだ。地域一帯が、当時の暮らしを理解するためにたいへん重要なのである。
 2012年12月、金井東裏遺跡で鉄製の甲(よろい)を身にまとったままの人骨の発見が報じられた。ちなみに、実際に存在が確認されたのは11月19日とのこと。こうした火山灰の地層で人骨が残ることはまれで、発見時に武具を着ていた事例もない(一般に知られていないようだが、今回のような武具はほとんどの場合「副葬品」として見つかるのだ)。県埋蔵文化財調査事業団は、よろい姿で噴火を鎮める祭祀をしていたと見ている。また、乳児の頭骨も発見されており、男の周囲には複数の人がいて、もろとも火砕流に巻き込まれたのではないか、と考えられるそうだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る