日本の武器輸出に関する政府方針。三原則とは(1)共産圏諸国(2)国連決議が輸出を禁止した国(3)国際紛争当事国あるいはその恐れのある国──への武器及び関連技術の輸出を禁ずるものだ。1967年に当時の佐藤栄作首相が国会答弁の形で表明した。

 その後、厳密に守られてきたわけではない。野田民主党政権は2011年に大幅に緩和し、武器の国際共同開発や共同生産を解禁する新基準を策定した。

 いま注目されているのは、安倍自公政権が航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の日米共同生産に伴い、日本企業による部品輸出を武器輸出三原則の例外として容認することを決めたからだ。

 F35はレーダーに捕捉されにくいステルス性を備えた最新鋭の戦闘機で、米英など9か国が共同開発した。航空自衛隊は計42機を購入する計画で、2016年から配備される予定である。1機約102億円。日本企業も機体の一部などを製造するが、懸念されるのはそうした部品がイスラエルなどに輸出されることだ。そのため、3番目の「国際紛争当事国」に抵触するとの指摘もある。政府は菅義偉(すが・よしひで)官房長官の談話で、容認する要件として、輸出先を「国連憲章の目的と原則に従う」国に限定、米国による「厳格な輸出管理」が行なわれることを前提としたが、米国任せで危ういとの指摘もある。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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