セクハラ・パワハラなど、権限を笠に着た行為は職場にとって大きなマイナスだが、ハラスメントをしている本人に自覚がないという場合、問題をややこしくする。最近とみに語られるようになった「ソーハラ」もまた然り。「ソーハラ」の「ソー」とは、FacebookやTwitterなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のこと。典型的な例が上司からの「友達申請」。基本的に「身内」だけを相手にしているSNSという空間では、上司は「招かれざる客」となる場合が少なくない。

 ささいな会社への愚痴も書けないようでは、(もともと不用意な投稿を避けるべきとはいえ)ガス抜きとしてのSNSの存在意義も失われてしまうだろう。さらには、「プライベートも監視されている」「興味がないつぶやきに『いいね!』を強要される」と感じてしまう向きもある。上司にしてみれば軽いコミュニケーションツールのつもりでも、部下にとっては悩みの種になっているのだ。こうした認識のずれは、いかんともしがたい。会社で上にいるような世代は、ネット上の住み分けの感覚が希薄で、残念ながらなかなかその溝を埋められないのである。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは

ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る