「ふなっしー」は元気いっぱいの「梨の妖精」で、わざわざ落書きのように雑にした顔が特徴。2013年には、ほかのゆるキャラとともに「アサヒ十六茶」のCMにも出演した。千葉県船橋市の非公認キャラクターだ。……そう、「非公認」なのである(船橋市には「汗一平」「風さやか」「目利き番頭 船(ふな)えもん」など、複数の公認キャラがいる)。その事実が、個性の厚みとなっているようだ。

 「ゆるキャラ」というものは、自治体のイメージを担うものなので、ときに「マジメさ・木訥(ぼくとつ)さ」を要求される。ところが「ふなっしー」は、悪童のようにちょこまかと動き、「口は悪く虚言癖があるけど案外素直」(公式サイトより)。そういえば、熊本の人気者「くまモン」も、仕事に嫌気がさして逃げ出したことがあった。これらのキャラクターはなんとも「人間くさく」、ゆえに愛される存在になっているという構図がある。

 週刊誌でギャラについて叩かれたこともあるが、もはや有名税だろう。それまで手弁当でパフォーマンスしていた。公的な予算の助けを借りずブレイクしたことには感心するばかりだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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