東日本大震災は東北・三陸地域に深い傷あとを残したが、復興への歩みは力強く続いている。「復興」を『日本国語大辞典』で引けば、「いったん衰えた物事が再び盛んになること、また、再び盛んにすること」とある。リアス式海岸の好漁場、また雄大な景勝地として知られた三陸も、もとより平穏無事な歴史をたどってきたわけではない。これまでにも幾たびか津波の猛威に襲われ、そのたびに立ち上がってきたのだ。三陸の「復興」とは、盛んに「なる」のを待っている意味ではなく、強い意志で盛んに「する」ものである。

 2013年5月、「三陸復興国立公園」が誕生した。宮城県気仙沼市から岩手県久慈市にかけての「陸中海岸国立公園」に、青森県の「種差(たねさし)海岸階上岳(はしかみだけ)県立自然公園」が加わるかたちとなる(今後も周辺の自然公園・国定公園を編入する予定)。そもそも「三陸」という地名は、陸奥・陸中・陸前と、三つの「陸」を冠する国にまたがっていたことによる。津波の被害をきっかけに、いま新たに、三県が一体となって前進していく。

 ちなみに「三陸復興」という名称は、将来的に見直しをはかる予定。「復興」の二文字が、時代遅れになる日が待たれる。


 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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