「泣いてスッキリする」「泣くのをこらえてストレスをためる」、これらは思いのほか「科学」に基づいた現象らしい。涙を流すことは「交感神経から副交感神経にスイッチする」ことにあたるという。交感神経は、仕事の活動中や、不安などのストレスを抱えているときに働いている。一方、リラックス時には副交感神経が働き、重要な癒やしの時間となる。この切り替えを意識することが、ストレスフルな日常を突破するカギだ。

 「涙活」とは、公式ホームページによれば「1か月に2~3分だけでも能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る活動」。提唱者は、以前にこのコーナーの「各停女子」のときにも紹介した寺井広樹(てらい・ひろき)氏だ。泣ける映画を、面識のない者どうしで集まって鑑賞するといったイベントを開催している。

 どうも昨今のエンターテイメントは「泣かせよう」というあざとい演出が多いし、人前で泣くのが恥ずかしいという美意識はなかなかぬぐえないかもしれない。だが身体の緊張状態を緩めるには、「涙活」が有効な手段であることもまた事実といえそうだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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