ロイヤルベビーはウィリアム王子の母・ダイアナ妃と同じ「かに座」生まれである。『週刊新潮』(8/1 号)によれば、何でも賭けの対象にする英国のブックメーカーで、ロイヤルベビーの名前で一番多かったのは、男の子ならジョージ、女の子ならアレクサンドラだったそうだが、見事的中し「ジョージ・アレクサンダー・ルイ」と名付けられた。

 『女性自身』(8/13号、以下『自身』)によれば、キャサリン妃とベビーは9月上旬まで、ウィリアム王子は2週間の育児休暇が切れるまで、ロンドンから80キロ離れたキャサリン妃の両親が住むバックルベリーで暮らす予定だという。

 この前例のない「実家育児」にこだわったのは、ウィリアム王子にダイアナ妃のつらい過去の記憶があったからだと『自身』で王室ジャーナリストが語っている。

 「ダイアナ元妃はウィリアム王子を出産後、極度の産後うつに苦しめられたといいます。原因は、宮殿での閉ざされた生活だったといいます。(中略)追い込まれたダイアナ元妃は体調を崩して、医師の手当てを何度となく受けています。しかし、チャールズ皇太子が妻に寄り添うことはほとんどなかったそうです」

 そのことを後に知ったウィリアム王子はショックを受け、キャサリン妃に同じ思いはさせたくないと、妻の実家での育児を決断したという。

 ウィリアム王子が覚えている母親とのハッピーな思い出の一つはマック・デビューだそうである。現地新聞記者がこう話す。

 「宮殿でランチが用意されていたにもかかわらず、ダイアナ元妃は2人の王子をマクドナルドに連れて行ってランチセットを購入。昼マックを楽しみました」(『自身』)

 キャサリン妃も、子どもには普通の生活をさせたいと、マックでランチや、テスコ(大手スーパー)に買い物にも連れて行きたいと、友人に漏らしているそうである。

 キャサリン妃の実家から帰ってきたロイヤルベビーが暮らすのはケンジントン宮殿。そこには80数万円のベビーベッドや5万円近いベビー服が整えられているという。

 幸せな人生が約束されているようだが、ベビーが生まれてくるまでには曲折があったようだ。在英ジャーナリストは「イギリス国民の多くには『王子のほうが王女よりも未来の国王にふさわしい』といった考えが根強くあった」といっている。

 だが「イギリスでは王位継承はこれまで“男子優先”でしたが、今年4月に“長子優先”に法律を改正しました。キャサリン妃が、男子出産のプレッシャーに苦しむことがないようにという配慮があったのです」(『自身』)

 日本の皇室にこのような“配慮”があれば、雅子妃のプレッシャーはどれほど軽くなっていたことであろう。

 『自身』によれば、雅子妃はキャサリン妃の出産に強い関心をもっていたそうである。東宮関係者がこう話す。

 「雅子さまは、“男の子だったの。本当によかったですね”と、とても喜んでいらしたそうです」

 複雑な思いが錯綜していた。雅子妃の胸の内を忖度(そんたく)すれば、そうなるのではないか。日本と英国の皇室の違いといってしまえばそれまでだが、ロイヤルベビー生誕に沸き返る報に接すると、雅子妃の孤独が一層際立つ気がするのは、私だけであろうか。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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