「もったいない」や「エコ」などの概念が流布すると、単にムダを減らすというだけでなく、意外なメリットが浮かび上がってきた。たとえば、食材を「使い切る」ことは、健康面でも合理的なのだ。野菜の皮や種・ヘタなど、これまで捨てられていた部分にこそ、重要な栄養が詰まっている。それらの「切れはし」を煮込んで作るのが「ベジブロス」。「ベジ」は野菜の「ベジタブル」、「ブロス(broth)」とは「だし汁」の意味である。

 人気を牽引しているのは、「ホールフード」の第一人者としてテレビでも紹介された、料理研究家タカコ・ナカムラ氏(ホールフードとは、環境など食材を取り巻くあらゆることを、包括的に捉えるという概念だ)。その著書『野菜の栄養100%いただきます! ベジブロスをはじめよう。』(角川マガジンズ)によれば、ベジブロスは水1.3リットルに対し、切れ端は両手1杯分が目安である。料理酒小さじ1杯も加える。弱火で30分じっくり煮てから、漉(こ)すだけで完成となる。

 皮やヘタがすぐにたまるわけではないので、ある程度の量になるまで冷蔵庫に保存しておくのがいいだろう。また、セロリなどの香味野菜の軸は風味をよくするそうだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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