脂肪分の摂り過ぎは肥満の原因になるが、脂質はたんぱく質や炭水化物などと並び、ヒトの身体のエネルギー源となる重要な栄養素だ。とくに、脳の働きをよくするものとして注目されているのがオメガ脂肪酸だ。

 脂肪酸は大きく分けると、常温で固まりやすい飽和脂肪酸、常温で固まりにくい不飽和脂肪酸の2つがある。オメガ脂肪酸は後者の不飽和脂肪酸で、その構造の違いからドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、αリノレン酸はオメガ3系、アラキドン酸(ARA)、リノール酸がオメガ6系、オレイン酸がオメガ9系に分類される。

 なかでも脳の働きをよくし、うつ病や認知症予防に効果が期待されているのが、DHA、EPA、ARAだ。これらの栄養素は、記憶能力や学習能力を司る海馬の機能を助ける成分として期待されており、脳の発達や維持に重要な役割を果たしている。

 ただし、体内では合成できないため、食事などで補う必要がある。とくに、60歳を超えると海馬内のDHAとARA が減少を始めるため、血流をよくする働きをするEPAとともに意識して摂りたい栄養素になる。

 ARAが多く含まれているのは、卵、豚や牛のレバーなど。DHAやEPAは、サバ、サンマ、イワシなどの青魚のほか、マグロ(脂身)、ハマチ、ブリなどにも含まれている。

 オメガ脂肪酸を摂っていれば、絶対にうつ病や認知症にならないわけではないが、これらの食品をバランスよく摂ることは健康な食生活を送るためにも必要なことだ。少し意識して、オメガ脂肪酸を摂る習慣をつけてもいいだろう。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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