ここ数年、時代劇などの影響で「城ブーム」が来ている。歴史に親しむのは日本人として品の良い趣味であろうし、地元の経済にも好影響をもたらす。が、それにしても人気が加熱しすぎという感がぬぐえない兵庫県朝来(あさご)市の竹田城。眼下に雲海が広がることから「天空の城」と呼ばれている。海外でも紹介されることが多い絶景に加え、映画『あなたへ』や大河ドラマ『軍師官兵衛』のロケも行なわれ、知名度はますます高まった。

 雲海が現れるのは基本的には9月から11月で、それをお目当てにキャパシティを上回る観光客でごった返した。もともとは入場が自由だった竹田城だが、市も対策せざるを得ない状況になった。まず、2013年10月からは観覧料を徴収。また、入場制限も敷かれた(不服そうに山を下りていくマイカー組の姿はニュースにもよく流れた)。それでも観光客は増加し続け、道に凹凸ができるなど城跡の傷みに悩まされている。11月には、男性が石垣から足を踏み外して重傷を負う事故も起こり、本丸周辺の補修工事も行なわれた。

 竹田城は市の観光事業の目玉、お客さんをシャットアウトするのも難しい話だ。ブームが落ち着くまでは、ジレンマに悩まされることになるのだろう。


※市は文化財の痛みや転落事故を防ぐために、3/20(木)から見学通路を設置する予定。

   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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