1月、中国・ハルビン駅内に「安重根(アンジュングン)記念館」が開館した。

 記念館といっても、駅構内の貴賓室に作られた約100平方メートル程度のものだが、日本政府にとっては看過できないものだ。歴史問題で国際社会で対日姿勢を強める「中韓共闘」の象徴と位置づけらているからだ。

 安重根は、1909年に明治の元勲、伊藤博文(初代韓国統監)を射殺した人物で、翌年処刑された。安は韓国では抗日独立運動の英雄とあがめられている。同館には安の写真や伊藤が暗殺された当時の様子などの資料がパネル展示されている。

 しかし、である。韓国にとっては、英雄かもしれないが、日本国民の感情からすれば、受け入れられない話だ。当然、日本政府は開館に際して「わが国の初代総理大臣を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだ」(菅義偉官房長官)と指摘し、抗議した。また安倍内閣は「記念館が建設されたことは遺憾」などとする国会答弁書を閣議決定した。

 韓国は、安重根記念館以外でも、国際社会において歴史認識を巡って一方的な主張を重ねている。ユネスコの世界記憶遺産に、いわゆる元従軍慰安婦らの証言記録を登録するための準備を始めているという。

 中国も韓国と同様、このところ反日プロパガンダで攻勢をかけている。

 日本としては、韓国、中国のゆがんだ外交工作に対抗する必要がある。そのためには、正確な事実を冷静に世界に説明すべきだ。対応を怠ると、ナチス・ドイツのようなレッテルをはられかねない。

   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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