政府はNTTドコモなど携帯電話会社が国に払っている「電波利用料」を2015年度から110億円減らす方針だ。携帯電話の利用料金の引き下げが期待されるという。

 電波利用料は、電波を使う個人や企業が総務省に「利用料」として支払う料金のことで、1993年に導入された。不法電波の監視・取り締まりや、最近では地上デジタル放送の普及に使われている。年額約770億円(2011~13年度の平均)。その7割強が携帯電話会社が負担している。当然、われわれが支払う携帯電話の料金に転嫁されているわけだ。

 利用料は3年ごとに見直しが行なわれているが、今回、携帯会社の負担を減らしたのは、東日本大震災で、救助要請や安否確認などに携帯が大きく役立ち、その公共性が高まったからだという。同じく公共性を理由に軽減措置が認められてきた放送局との不公平感にも配慮した。

 電波利用料をめぐっては、その使途について国会で「電波行政を受け持っている総務省職員のレクリエーションに使われている」と指摘されたことがある。何に使われているか、十分な情報開示が必要なのは言うまでもない。

 一方、放送局の負担分は携帯会社のほぼ10分の1の年額51億円(2011~13年度の平均)。職員が高給で知られる民間放送局はもっと電波利用料を支払うべきだ、との声もある。

   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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