いよいよ4月1日から、消費税が現行の5%から8%に引き上げられる。6日後に迫った改正に伴い、値札の付け替え、料金表示の看板の取り換えなど、ありとあらゆる業界が料金改定の作業に追われているだろう。

 なかでも大変なのは鉄道料金だ。4月以降は、切符の料金とICカードの料金では異なる料金が設定されるのだ。

 自動販売機などでの1円単位の支払いは煩雑になるため、切符は10円単位の料金となっている。過去の消費税増税時には、増税分を丸めて四捨五入し、10円単位で料金が改定されていた。

 しかし、現代はスイカやパスモなどICカードが発達しており、こちらは現金でのやりとりはない。コンピュータのデータを変更すればいいだけなので、ICカードで鉄道に乗る場合は1円単位で料金が改定される。一方、切符は従来通りに増税分を四捨五入して10円単位で改定されるため、鉄道料金は2種類の料金体系が作られたのだ。

 そのため、同じ距離を乗るにしても、切符を買うか、ICカードを使うかによって料金に差が出るところもある。たとえば、JR東日本の4月以降の初乗り運賃(1~3㎞)は、切符は140円だが、ICカードを使うと144円。この場合は、切符を買ったほうがお得だ。しかし、4~6㎞になると切符が190円で、ICカードが185円なので、ICカードを使ったほうがお得になる。

 少しでも節約したいなら、電車に乗る前に料金を確認して、どちらを使うか吟味する必要が出てくるだろう。

 しかし、やっと料金を覚えても、来年10月に消費税が10%に上がれば、再び料金の改定が行なわれ、同じ作業が繰り返されることになる。そのコストや手間は、事業者や消費者に相当な負担を負わせることになる。

 たくさんの負担を負わせて集める税金だ。1円たりとも無駄にせず、有意義に使わなければ、時の政府が国民からそっぽを向かれるのは時間の問題だ。

   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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