「ゲームなんかやっていないで、勉強しなさい」。そんな風に親に怒られていたテレビゲームブームの世代は、いまや成長して社会の中核を担っている。

 1989年12月、携帯型ハード「ゲームボーイ」で発売された『魔界塔士Sa・Ga』(スクウェア、現スクウェア・エニックス)は、その後多くの続編を生んだ。1992年、「スーパーファミコン」で発売された『ロマンシング サ・ガ』からはイラストレーターの小林智美氏を起用。以降のビジュアルイメージを決定づけた。日本のRPGを代表するコンテンツに成長した『サガ』シリーズは、2014年に25周年を迎える。

 このタイミングでスタートしたユニークなプロジェクトが、佐賀県との共同イベント企画、その名も「ロマンシング 佐賀」である。ダジャレではあるが、一つの自治体がゲームを世間の共通認識として受け入れた、記念すべき瞬間であった。3月中旬には六本木ヒルズで本企画のラウンジが設けられ、『サガ』シリーズ及び佐賀県の特産品の魅力が紹介された。伝統の有田焼に、小林智美氏のビジュアルが絵付けされて展示されたのは、まさにコラボレーションと呼ぶにふさわしい。

 じつは、企画に至るまでには紆余曲折があり、あるときはメーカー側から、またあるときは佐賀県からアプローチしたが、実現しなかった経緯がある。今回、佐賀県の古川康知事はかなりノリノリといった印象で、ゲームの立ち位置が低かった時代からは隔世の感がある。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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