連載20周年を迎え、2014年は関連イベントも多い『名探偵コナン』。まさに「国民的作品」であり、いまの小学生が想像する「名探偵」のイメージは、もはや「ホームズ」や「ポワロ」ではなく「コナン」なのだという。そんな『名探偵コナン』を象徴するフレーズが、「見た目は子ども、頭脳は大人」というアニメのナレーションである。

 元ネタが著名であるだけに、最近よく耳にするようになった「逆コナン」は、おそらく意味を察しやすい言葉だ。要するに、「見た目は大人、頭脳は子ども」という、精神的に幼い成人をさす。「口先だけは一人前だが……」といった親の悩みは、昔から珍しいものではない。だが、最近は「荒れる成人式」「礼儀を知らない新入社員」などの話題が確かに多いようにも見える。それらに「うちの子の未来」を見出すのは、ごく当然の反応。心配でいてもたってもいられないことだろう。

 校内暴力の問題などを含め、過去には子どもたちがもっと無軌道であったかもしれない。乱暴なガキ大将がいた時代もある。ただ、それらはどちらかといえばわかりやすい、「子どもらしい」幼稚さが感じられる。いまどきの子たちは、スマホなどの普及で様々な情報に触れられるので、「頭でっかち」といおうか、「反抗」の仕方がもっと厄介なのだ。言い訳自体はなかなか理知的であったりもする。だが、「コナン君」のようにものを言う子どもも、まだまだ「頭脳は子ども」だ。放っておいては、「逆コナン」になりかねない。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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