総務省統計局による日本の人口推計は平成26年5月1日現在(概算値)で1億2710万人。前年同月に比べ0.17%(21万人)減少している。こうした減少が続けば2050年頃に日本の総人口は1億人の大台を割り込み、2110年には約4300万人と、ほぼ現在の1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬、栃木)の人口と同じになってしまうと国立社会保障・人口問題研究所が発表している。

『週刊現代』(6/21号、以下『現代』)はさらに衝撃的なデータを示している。日本創成会議・人口減少問題検討分科会は2040年までに「消滅の危機」に瀕する市町村が896にものぼると発表しているのである。

 人口減少は当然ながら働く世代の人口を減らす。『現代』によれば、15歳から65歳未満の「生産年齢人口」は1995年のピーク時からすでに1000万人近く減っているという。

 人口減少がこのまま進めば、外食チェーンやコンビニに人手が集まらなくなるばかりでなく、あらゆる分野で人手不足が常態化し企業や組織が消えていく。それと同時に、客がいなくなるために市場そのものが消滅してしまうことにもなるのだ。

『現代』はそうした近未来をこう描いてみせる。

「ゴミ収集車などの稼働率はグンと下がり、家の前にはゴミ袋が山積みにされる。(中略)緊急事態が起きても救急車や消防車が出動できないということにもなりかねない。そして、いざ病院にたどり着いても肝心の医者や看護師がおらず、治療を受けられずに取り返しのつかないことになるケースが増えていく。
 道路や橋などのインフラを整備する人もいなくなり、街は荒廃の一途を辿ることになるだろう。やがて人生の最期を迎えたとき、近所には寺もなく、僧侶も葬儀業者もいないという状況に陥る」

 SF映画に、核戦争で破壊され尽くされた街で生き残った人間たちが食べ物を求めてうろつくシーンがよくあるが、それが絵空事ではなくなるというのである。

 こうした事態を招来した責任の一端は政府にもあると『現代』は書いているが、私にいわせればほとんどの責任があるといっていいと思う。

 人口爆発を何とかしようと、1974年に政府や財界人たちが「子供は2人まで」とした宣言を採択、人工中絶や避妊用ピルの公認をした。だがここに間違いがあったと『現代』はいう。

「人口を増加も減少もしないように安定させるには、女性が『平均で2.07人の子供』を産む必要がある」

 2人で安心してしまうと人口減少は止まらないのだ。出生率が回復してきているといっても1.43。その上20歳から39歳の若年女性が減少しているのだから、どうやったって子供の数が増えるわけはない。

 フランスのように「事実婚」を認めて婚外子を増やせとか、海外から働き手としての移民を増やせという案も浮上してはいるが、どれも解決策にはならないと『現代』は書いている。

 前者は日本の社会制度や慣習から難しく、後者は日本人のアジア人に対する差別意識や、「2025年を過ぎると、中国ですら人口減少がはじまります。すると技能を持つ人の給料が中国国内で上がっていく。中国人労働者は、わざわざ日本その他の外国で働く必要がなくなる」(鬼頭宏(きとうひろし)・上智大学教授)。その流れは東南アジアにも波及するという。

 かくして2060年の総人口は8674万人になるというのである。これは映画『三丁目の夕日』の頃とほぼ同じ数字だが、決定的に違うのは子供の数と高齢者の数だ。子供は2980万人から791万人に激減し、高齢者は475万人から3464万人に激増する。

『現代』は、そうなれば核家族では生活費が高くなり大家族にならざるを得ないから、昭和30年代のように「家族は絆を大切にし、地域の人々は助け合」うようになり、「日本人が再び心豊かな暮らしを送れるならば、それは必ずしも不幸ではない」と希望的観測で結んでいるが、私はそうはならないと考える。

 なぜなら、家族の結びつきが失われて久しいのに、人口が減ったからといってそれが戻るとは思えないからだ。30年代とは違って外で遊ぶ子供の姿は減り、家は高齢者夫婦と老老介護世帯ばかりになる。居間にある4Kテレビやスマホを見ているだけで会話のない“鬱陶しい”家庭が増えるだけだろう。

 だがそうした日は必ず来る。政治主導で産めよ増やせよと囃しても、戦前ではないのだから“踊る”若者はいまい。100年足らずの間に日本中が限界集落化するということを前提に、都市計画や公共交通機関、流通の整備など「百年の計」にすぐさまとりかかるべきである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週は芸能人・女子アナたちの話を3本選んでみた。不倫あり下ネタあり勢力争いありとバラエティに富んでいる。お楽しみあれ。

第1位「ダウンタウン浜田雅功 29歳Fカップグラドルと裏切りの3年不倫」(『フライデー』6/27号)
第2位「吉高由里子『元カレを引き戻す』下ネタ力」(『週刊ポスト』6/27号)
第3位「日テレ『女子アナ大異変』女帝・木村優子にマウンティングするのは誰だ」(『週刊ポスト』6/27号)

 第3位。まずは『ポスト』から。日テレは現在絶好調で、3月末に発表された昨年度視聴率では全日・ゴールデンでトップとなり、それ以降も快走を続けている。

 だが、さらに弾みを付けるためにアナウンス部の部長として絶大な権力を持ち、女帝、氷の女王とまで呼ばれていた木村優子が切られ、突如として子会社に出向となったと日テレ社員がいっている。

 その裏には水ト(みうら)麻美アナ(27)の存在があるというのだ。彼女は昨年「オリコン」が実施した「好きな女性アナウンサーランキング」で1位に輝いた日テレの看板アナである。

 なぜまだ若い水トのために木村部長が追いやられなければいけないのか。日テレの情報番組スタッフがこう語る。

「木村さんは、女子アナのプライベートを売りにするような演出や編集が嫌いなんです。“女子アナはタレントじゃない!”“もうこの番組には出さないよ!”と制作スタッフを叱る姿も珍しくない。アナウンス室に女子アナの出演をお願いする案件があると胃が痛くなるというスタッフもいます。“またキム子(木村アナのこと)のところに行かなきゃいけない……”っていえば、“頑張ってね!”と声をかけられるほど。
 今回の人事は、“女子アナのタレント化”を危惧する木村さんの考えが、局の方針とぶつかり合った結果ではないか」

 日テレでは人気女子アナの退社が続いているが、木村の厳しさも理由のひとつだと局内でいわれているそうだ。

 木村アナは花形の女子アナから自分で選んで報道部に移り、現場で苦労してきた女性である。昨今のちゃらちゃらしてニュースひとつ読めない女子アナに頭にきていることは想像に難くない。

 そうした真っ当な意見を排除してフジテレビのようにバラエティに女子アナを重用していけば、いずれ年をとって使えなくなるか、稼げるうちにフリーになってしまうかどちらかになる。日テレのフジテレビ化は凋落への第一歩ではないだろうか。

 第2位。お次も『ポスト』。『花子とアン』で人気上昇中の吉高由里子に意外な力があるというのである。

 その力が発揮されるのは酒の席。東京中目黒界隈で飲んでいる吉高がたびたび目撃されているが、一緒に飲んだ芸人のひとりがこう証言している。

「お酒の入った吉高さんはサイコーです。エロい、かわいい、男前。“おい、脱げ!!”とオヤジノリで場を盛り上げたかと思うと、意味ありげに、いや、本当は意味なんてないんでしょうけど、フフッと笑ってジーッと目をあわせてくる。なんだか誘われている気になる……」

 女子力ならぬ「下ネタ力」も抜群で、撮影現場や女子会でも下ネタを連発するそうだ。以前、フルヌードを披露して話題を呼んだ映画『蛇にピアス』について、福山雅治が「よかったよ……おっぱいが」と言うと、吉高はすかさず「よく言われるんですよ~」と切り返したこともあるそうだ。

 私も『蛇にピアス』は見た。映画はどうということはないが、吉高の脱ぎっぷりと肌のきれいなのには目を見張ったものである。

第1位は『フライデー』の「ダウンタウン」浜田雅功(まさとし)(51)が家には帰らず、29歳のグラビアアイドル・吉川(きっかわ)麻衣子(29)と別居・不倫しているというお話。

 吉川が出入りしているのは浜田の事務所になっている目黒区内の超高級デザイナーズマンション。今から4年前に放映されたドラマで会ったのがきっかけになったという。

 浜田は相方の松本人志とは違いスキャンダルとは無縁だったそうだ。意外に恐妻家なのだという。

 これがバレたら大変だろうが、『フライデー』はそんなことにはお構いなしにカミさんを直撃してしまうのだ。

「事務所に暮らしている女性がいるのはご存じですか? 吉川麻衣子さんというのですが……」

 だが、子どもをもうけ結婚生活25年になるという妻の小川菜摘(なつみ)(51)は泰然自若、動じない。「夫婦仲は冷めていませんか?」となおも追いすがる『フライデー』に、

「とてもうまくいっています。離婚とかもないです。たとえそう(不倫)だとしても家庭を壊すような人ではないので」

 女と遊ぶのは芸の肥やしと取り合わないが、最後にこう漏らしている。

「彼と話をしなければいけないし、それはこれから考えます」

 いや~怖いな、このひと言。

 そして6月14日、浜田雅功が直筆署名入りのファクスを通じてコメントを発表した。

「発売中の週刊誌の件では大変お騒がせし誠に申し訳ございません。特に家族には、大変辛く、恥ずかしい思いをさせてしまいました。家族で話し合い、一家の主として、夫として、親として、心から謝罪致しました。常日頃、妻は『芸人はモテなくなったら終わり、家族に迷惑をかけない遊びは大いに結構』と言ってくれていましたが、その言葉以上に羽を伸ばし過ぎ、その羽は、家族にへし折られました。家族にこの様な思いをさせまいと猛省しております」

 妻は強し。文面を読む限り相当厳しく怒られたんやな浜ちゃん。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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