政府が右肩上がりの医療費の伸びを抑えるため、都道府県ごとに医療費の数値目標を新たにつくるという。

 1人当たりの医療費は都道府県単位でみるとばらつきがある。市町村国保加入者の場合、数字は古いが、2011年度で最高は山口県の37万3千円、最低は沖縄県の25万7千円で、1.45倍の開きがある。年齢構成や医師数、病床数などが影響しているとみられる。全国平均は30万3千円。

 数値目標の作成に活用するのが、レセプト。医療機関の窓口でもらう医療費の請求書のことだ。そのデータは電子化されていて、どんな病気にどんな治療法や投薬を行なったか解析することができる。必要以上の通院や検査、過剰な薬の処方は、すぐわかる。これを有効利用し、都道府県ごとに医療費の無駄遣いをチェックするわけだ。

 目標値を逸脱した都道府県へのペナルティーはなさそうだが、関東地方のある自治体首長は「補助金が減らされるなど国からの補助金、予算面に影響があるかもしれない」と話し、今後、自治体として医療費削減に力を入れるという。具体的には価格が安いジェネリック医薬品の利用促進、生活習慣病対策の強化、糖尿病の重症化予防の啓発を考えているという。

 目標値設定に対し、医療機関側は反発しているが、膨張し続ける国民医療費の現状を考えれば、やむを得ない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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