「ボタニカル(botanical)」は「植物の」「植物学的な」という意味の英語。2014年のファッション界の一つのキーワードとなった。そもそも、最近はガーリーな「花柄」のトレンド傾向が続いていた。これを受けて、葉やツタ、木の実といった「ボタニカル柄」全体が注目されるようになったわけだ。ボタニカル柄は、夏のリゾート的な装いの中にも、ナチュラルテイストな上品さを演出することができる。ちなみに、スカートなどのアイテムだけでなく、ネイルのデザインとしても流行しているそうだ。今夏は、レディースだけでなく、メンズにも人気のきざしが見える(男性の場合だと単に「アロハ」っぽくなってしまうけれど)。

 ファッションの流行は、それ自体が突然変異的に湧いて出るわけでなく、世のさまざまなトレンドと影響しあって起こるもの。植物を実物大に精密に描く「ボタニカルアート」などは、日本でも愛好者を増やしているし、雑貨のジャンルでも、遠目には一輪の花やリーフに見える「ボタニカルペン」がヒットしている。「ボタニカル」という言葉を聞く機会は、各方面でますます増えてくることだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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