今年の夏あたりから「かき氷」がちょっとしたブームになっているらしい。

 六本木交差点近くでは年中無休のかき氷専門店がオープンし、都内の某一流シティホテルのレストランでは「石垣島天然マンゴー添え羽衣ミルクかき氷」なる2592円の高級かき氷がそれなりの人気を博しているという。

 すでにアイスクリームブームが一周してしまった昨今に「次はかき氷だ!」と逸る気持ちはわからなくもないが、筆者としては「あまりそそられない」というのが正直なところだ。

 まず、冬には絶対に食べたいとは思わないだろう。いくら暖房のきいた暖かい室内であろうが、その見た目の“雪”のような寒々しさは如何しようもない。(高級)アイスクリームの濃厚感と比べ、かき氷のアッサリ感は夏の乾いた喉を潤してくれそうだが、冬はそこまで切実に喉も乾かない……。極論、冬にかき氷を食べるヒトたちの気が知れない。

 あと、かき氷ブームを煽る代表的なコピーとして「ふわっふわの~」などがよく目に付くが、筆者の個人的好みで言えば、あまり目が細かすぎない、どちらかといえば「ジョリジョリ」の氷に、マンゴーだのツバメの巣だのといった余計な物はあえてのせず、カルピスだけをサッとかけたかき氷がいちばん美味しい、と主張したい。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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