パチンコ産業は一時の勢いはないものの「20兆円産業」と言われる。その有力産業をターゲットにした「パチンコ税」創設の動きが自民党内に浮上している。

 党内の議員連盟「時代に適した風営法を求める会」(会長・保岡興治(やすおか・おきはる)元法相)を中心に検討している。

 具体的には、客が獲得した出玉(でだま)を景品交換所で換金する際、その現金に数%の税金を課す案が検討されている。試算によると1%で2000億円近くの税収があるという。

 このタイミングでの創設の動きには理由がある。政府はアベノミクスの柱として「法人税率の引き下げ」を2015年度から実施する予定だが、減税分の穴埋め財源としてパチンコ税が浮上しているわけだ。

 ただ、創設のためには超えなければならないハードルがある。

 風営法はパチンコを「遊技」と規定し、パチンコ店は、現金または有価証券を賞品として客に提供することを禁じられている。そのため客は、「店でいったん景品を受け取り、それを店外にある景品交換所に持ち込み、現金を受け取る」という、わかりにくい形をとっている。捜査当局は黙認しているものの、「遊技と称しつつ、違法スレスレ、事実上のギャンブル(賭博)だ」との指摘がある。パチンコ税の創設のためには、そうした賭博性を法的に認める必要がある。

 賭博の容認、換金の合法化に対しては風当たりが強く、国民の理解を得るのは至難のワザだ。「パチンコ依存症」が社会問題化しているという側面もある。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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