最近、「世界一おいしい」のうたい文句で人気の「マッサマンカレー」。タイのカレーだが、一部地域だけのいわば「ご当地グルメ」なので、当のタイでもさほど知名度が高くないという。「世界一」の根拠は、2011年にアメリカの人気情報サイト「CNNGo」が「World’s 50 most delicious foods」のトップに選んだことだ。

 「マッサマン」とは「イスラム教の」を意味する言葉で、宗教上禁止されている豚肉を使わずに、チキンなどを用いる。そもそもタイカレーの特徴といえば、ココナッツミルクを加えながらも打ち消すことのできない、独特の辛さ! しかし、マッサマンカレーは辛さが控えめで、日本人にもとっつきやすい刺激といえる。具材もジャガイモやタマネギなど、なじみ深いものが多く使われる特徴がある。

 国内では2013年に無印良品が大手に先駆けてレトルト商品を開発し、ヒットを飛ばした。その後も各社が追随し競合する状態となっている。デニーズなどのファミリーレストランでもフェアが行なわれ、知名度は上がるばかりだ。タイ料理というジャンルは、ファンが多い一方で、エスニック感が苦手な人も多い。この春、トムヤムクン味のカップヌードル(日清食品)が発売となり売り切れ店続出というニュースがあったが、マッサマンカレーも、タイ料理が定番となる一つの突破口となるだろうか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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