女優。島根県出雲市出身、身長170cm、47歳。高校卒業後、日本たばこ産業女子バレーボールチーム(現Vリーグ・JTマーヴェラス)に入団したが、ケガのため退団。

 芸能界を目指してファッションモデルに転身。矢沢永吉のアルバム『the Name Is...』のジャケット写真にも登場している。1995年に映画『幻の光』で女優デビュー。

 フジテレビのドラマ『ショムニ』が大ヒット。映画『命』で第26回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞している。

 写真家の桐島ローランドと結婚したが離婚。現在はフジテレビのディレクターと結婚して2人の子どもがいる。

 その江角が週刊誌を賑わせている。彼女が7月30日のブログで、長女が青山学院附属幼稚園に通っているとき、ママ友からいじめを受け、「露骨に無視をされたり、お茶会やランチ会をその噂を広めるために開かれたりとか。『違います!』と言いたいのを我慢して耐えました」と書いた。ワイドショーや女性週刊誌は最初、同情的に取り上げたのだが、母親たちから猛然と反論の火の手が上がっているというのだ。

 これまでも肩掛けカバンは発育に悪いから全校生徒をランドセルにするべきだと運動したり、理事長に手紙を書いたり、先生に向かっても強い口調でいいたいことをいうとの批判があったようだ。

 まるで口の悪さと自己中心的な発想で庶務二課を育て上げたドラマ『ショムニ』の主人公を地でいくようではないか。

 それぐらいはと私は思うが、“傲慢女”というイメージがついてまわる江角だから、彼女が思っている以上にこのブログは反発を招いたようである。

 『女性セブン』(8/21・28号、以下『セブン』)に反江角派の「2053文字の抗議声明」が載っている。引用してみよう。

 「このたび、江角マキコさんのブログでの突然のいじめ告白に対して、驚きと抑えきれない怒りと悲しみを感じています。芸能人であることを利用して、あのような文章をブログに載せた彼女の行動は、わたしたちには甚だ理解しがたく、非常識だと感じているのはもちろんですが、そのブログに対して多くのマスコミが何の検証もなしに、それがいかにも事実であるかのように報道されることに関して、きちんと取材をしてぜひ真実を報道していただきたいと思っています。(中略)
 まず、彼女が仮に自分がいじめられていたと感じているとすれば、それは幼稚園の年長さんの3学期以降、彼女が数々の同級生へしてきたことがバレたために、彼女からみんなが距離を取ったというのが事実です。つまり、いじめがあったとするならば、それはむしろ彼女自身がされていたことであり、彼女は被害者というよりも加害者ではないか、と考えます」

   カミさんを怒らせると怖いのはもちろんだが、ママ友はもっと怖い。

 「これまで、あまりにも大人げなく、くだらない彼女からの中傷に対して、ほかの保護者たちは口を閉ざしてきました。江角さんが学校でされていた数々のいじめともとれる態度に対し、他の保護者は彼女から説明や弁明をお聞きしたかったのはもちろんですが、子供たちの親として、理性ある大人として、静かに対処することが最善だと考えておりました。(中略)
 このたびの突然のブログでの告白で、残念ながらこのような話が露呈しましたが、これは学校および関係するたくさんの方たちの意図に反するものだと思います。
 彼女の身勝手な発言によってこの騒動に巻き込まれた多くの保護者および学校に、彼女はきちんとした形で説明をし、自分で後始末をつけるべきなのではないかと思っています。このブログこそ、彼女のマスコミという力を使った、不特定多数へのいじめ以外の何者でもないのではないでしょうか」

 ママ友の実態にくわしい作家の石川結貴(ゆうき)さんが『セブン』でこう語る。

 「ママ友づきあいのいちばん難しいところは、単なる友達関係ではなく、そこにはカーストさながらの“格付け”が存在することです。
 自身の経歴から始まり、キャリアウーマンか専業主婦か、着ている服のブランド、子供にどんな食事を与えているか、そういう材料をもとに、誰が上で誰が下で、誰が同じか、見極めた上でのつきあいになるのです。だからこそ、属するカーストを飛び越えるような、出しゃばった言動は、“生意気だ”と反感を持たれ、仲間外れになるんです」

 『週刊文春』(9/4号、以下『文春』)は江角が2年ほど前、子どもが同じ幼稚園に通っていて一時は仲のよかった長嶋一茂の屋敷の壁に、当時の担当マネジャーを使って「バカ息子」と落書きさせたのではないかという「疑惑」を報じている。

 『文春』によれば、江角の娘をイジメていたのが長嶋の子供で、それに怒って江角がやらせたのではないかというのである。

 江角の『ショムニ』での決めぜりふは「やられたらやり返す」。だが、その江角流のやり方が大きな波紋を呼び、このままいくと女優業にも支障が出てくるのは間違いない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週は女性をテーマにした話題を3つ選んでみた。やはり女性は強いと思うか、愛らしいと思うか、貴方はどっちだろう。私は当然愛らしい派である。

第1位 「高橋大輔に無理チューしていた橋本聖子 セクハラ写真公開」(『週刊文春』8/28号)
第2位 「女性が綴る『ジョジョカン』の淫靡な濡れ場」(『週刊ポスト』9/5号)
第3位 「『女性に優しい企業』ランキング」(『週刊朝日』9/5号)

 第3位。まず『朝日』の女性に優しい企業の特集から。「女性の役員比率」のベスト5は、P&G、ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本GE、トレンドマイクロ、ツクイの順。
「女性の管理職比率」のベスト5は、ツクイ、ユニリーバ・ジャパン、P&G、資生堂、大丸松坂屋百貨店となる。当然ながら消費者と直接取引する企業が上位にきているし、外資系が多い。
 安倍首相は企業の指導的地位での女性の割合を2020年までに30%にするなどと大風呂敷を広げているが、2013年度では民間企業に占める女性管理職の割合はたった6.6%で、それも2年前に比べて減少しているのだ。安倍さんは現実を見る目を持つべきである。

 第2位。ジョジョカンとは聞き慣れない言葉だが「女性による女性のための官能」のことをいうそうだ。
 この分野には老舗の『ハーレクインロマンス』など競合相手が多くいるそうだが、今回『ポスト』が取り上げたのはKADOKAWAの『フルール文庫』。創刊は昨年9月だが、累計35万部、1作品平均1万部近く売れているという。
 波多野公美編集長は、女性向けのエロティック小説にはルールがあると話す。

 「女性の心のサプリであるために、女性を貶めるレイプや痴漢、近親相姦などはNG。基本的にベッドシーンではコンドームを着用する描写を入れています。性表現も男性向け官能小説のような直接的な言葉ではなく、美しい言葉に言い換えています」

 特集の中には小説のさわり、こうした小説を書いている女性作家の座談会、編集会議まで載っているが、興味深いのは「美しくて品のある『性器表現』辞典」だ。
 男性作家が使うような卑猥な表現はダメで「穏やかで美しいイメージを持った、花や草木から連想させるのがポイント」だそうだ。
 たとえば花弁、花唇、花孔、花壺、花房など。男性のアソコの表現は意外にも性器というのが多いそうで肉棒、肉竿などはOKの模様。
 作家の中島桃果子(もかこ)氏の表現がすばらしいので紹介しておきたい。女性が性交で快感を感じたときこぼす水のことを「春水(はるみず)」。オナニーをしたときにこぼす水のことを「惚雨(ほれさめ)」。オナニー自体を「淫惚雨(みだぼれ)」と“造語”したという。
 私の知っているAVの世界とはずいぶん違うようですな。

 今週堂々の第1位は橋本聖子参議院議員(49)が高橋大輔選手(28)にキスを強要したという『文春』のグラビアと記事。
 ちと古いのが難だが2月23日、ソチ五輪閉会後に橋本議員が選手村にあるJOCの部屋にスケート選手たちを集めて酒盛りをした時のことだ。
 酒が入った聖子ちゃんが次々に選手たちに抱きつき、ついに“氷上の貴公子”高橋選手の肩に腕を回し、キスをした瞬間の写真がグラビアに載っている。
 巻頭の写真だけを見ると熱愛中の二人がダンスをしているうちに唇を自然に合わせたようにも見える。
 だがページをめくると、嫌がる高橋選手に襲いかかるようにして聖子ちゃんがキスをせがんでいることがよくわかる。
 「これは自身の権力を利用した、パワハラ、セクハラといえるだろう」と『文春』は書いている。橋本議員は強制した事実はないといっているが、写真を見る限り「強制性」ありと見る。これで次の入閣はおじゃん? 彼女の入閣を阻止しようと考えた誰かが「落とす」ために今頃発表したのかもしれないが、身から出たサビ、致し方ないか。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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