コミュニケーションアプリ「LINE」の大きな特徴の一つが、テキスト代わりにイラストが使える「スタンプ」だ。あえて説明するまでもないだろうが、気心の知れた者同士でやり取りをする場合には、「うれしい」「落ち込んでいる」と文章にするよりも、スタンプのほうがユーモラスかつ雄弁な感情表現となることが多い。

 以前は公式のスタンプしかなく、プロモーションのため企業がゲームやアニメなどのスタンプを作る際、何百万というお金が動いていたという。だが、2014年5月、「LINE Creators Market」内の「クリエイターズスタンプ」として、広く一般にも解禁された。プロ・アマを問わず、40個1セットのスタンプを100円で販売できる。売り上げのうち約半額が作成者のものになる仕組みだ。

 これが爆発的な人気となり、サービス開始後わずか1か月で販売総額が1億5000万円を超えた。現在の販売数も上々で、トップクラスの人気を誇るスタンプは、収益も1000万円以上になるという。ネット上にはすでに、「どんなスタンプが売れるか?」という記事がひしめいているが、もはや競争率が激し過ぎて、卓越してコンセプチュアルなものでないと、大もうけまでは望めないだろう。だが、イラスト系のクリエイターに寒風吹きすさぶ昨今、夢のある話ではある。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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