これは、戦後教育の大きな転換点といえようか。

 中央教育審議会(文部科学大臣の諮問機関)は、2014年10月21日、小中学校の「道徳の時間」について、それまでの「教科外活動」から正式な教科に格上げするよう文部科学大臣に答申した。早ければ2014年度中に学習指導要領を改定し、2018年度から教科となるという。教科になることで、検定教科書を使い、成績評価も行なわれる。

 道徳教育をめぐっては戦前、国定教科書を使った「修身」が存在したことをご存じの方も多いだろう。敗戦後、これが「軍国・国家主義につながった」との批判があり、連合国軍総司令部(GHQ)は、1945年12月に授業停止を指令した。その後、1958年度から現在の道徳が「教科外活動」として行なわれてきた。

 今回の答申は政府の教育再生実行会議の提言(2013年2月)を受けたもので、「深刻ないじめへの対策」として浮上したものだ。安倍晋三首相は第一次政権の2007年にも道徳の教科化を目指したことがある。安倍カラーが色濃く出た施策であることは間違いない。

 新しい道徳の授業は週1回程度で、原則として学級担任が担当する。評価は、数値ではなく、文章で成績表に記入する。授業内容はいじめ問題のほか、ネット時代の情報モラル、生命倫理などの課題を取り上げるという。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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