太陽光など再生可能エネルギーの普及を目指して2012年に導入された「固定価格買い取り制度」について、政府が見直すという。

 同制度は、太陽光や地熱、風力、中小規模の水力、バイオマスなど5分野の電力について、電力会社が一定価格で買い取る制度だ。価格は政府がその年ごとに決める。2014年度は、10キロワット以上の太陽光発電の場合、1キロワット時あたり約35円。経済産業省に認定されたら、その価格で最長20年間、買い取ってもらえる。

 今、見直しが始まったのは、買い取り価格が高い水準に設定されたことで、太陽光発電に参入する業者が増えすぎて、購入する側の電力会社が悲鳴を上げているからだ。受け入れを中断する電力会社が相次いでいる。

 確かに地球温暖化のことを考えれば「再生可能エネルギー」の普及は重要な課題だ。ただ、導入2年での見直しには「価格設定など経産省の制度設計に欠陥がある」(電力会社幹部)との批判がある。

 電力会社は高い価格で買った電力の買い取り費用を家庭や企業への電気代に転嫁して回収している。そのツケは、われわれ利用者が負担しているのだ。

 旅先で車窓から遊休農地に太陽光パネルが張り巡らされている風景をよく見るようになった。地球環境には大変いいことなのだが、そのツケのことを考えるとなんだか複雑な気分になる。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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