現在、公立小学校の1年生には1クラス「35人学級」が導入されている。「きめ細かな教育」の実現が主な目的で、2011年度にそれまでの40人から引き下げられた。学級規模の上限見直しは約30年ぶり。時の政権党、民主党の目玉政策だった。

 ところが、政府内でこれを見直そうという動きが出てきた。財務省は2014年10月27日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、「40人学級」に戻すべきだ、とする案を提示した。「35人学級で、学力があがったり、いじめや校内暴力が減ったりするなどの効果があるのか疑問だ」「少子化で児童数が減少しており、本来なら教職員数は削減すべきはずだ」といった考えからだ。

 背景には、厳しい財政事情がある。財務省は40人学級に戻すことで、約4000人の教職員を削減し、国庫負担が約86億円削減できるとそろばんをはじいている。

 これに対し、文部科学省は「到底容認するわけにはいかない。財政上の問題だけで教育論をすることは将来を誤る政策になる」(下村博文文科相)などと反論している。

 もとより、少人数学級が望ましいのは言うまでもないが、国民の税負担が増す中で財政の問題も大切だ。

 2015年度予算編成に向け、「35人学級」の議論に注目したい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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