少女漫画『ガラスの仮面』(美内すずえ作画)で、伝説の大女優・月影千草が、ごく平凡な少女・北島マヤに秘められた演劇の才能に驚嘆し、発した台詞(※原作での正確な表記は「おそろしい子!」)。発言しているとき、月影はかならず白目になる。

 近年では、「マヤ…おそろしい子!」の「マヤ」の部分に違った固有名詞を入れるパロディとして多く使用され、最近では男子フィギュアスケートの金メダリスト・羽生結弦(はにゅう・ゆづる)の神がかったパフォーマンスを称え、「ゆづ…おそろしい子!」とアレンジされたものが再ブレイクしている。

 これまでも神がかったパフォーマンスで日本国民を魅了したアスリートは数多くいたが、「なぜ、あえてゆづなのか?」と問われれば、フィギュアスケート界独特のユニセックス感と、羽生の「進化」とも呼べるあり得ないプロポーションや美白肌、さらには、おそらく戦後史上 “もっとも美しい流血”(グランプリシリーズ中国大会)が、少女漫画の世界観にぴったり合致したからだと推測される。

[間違った使い方] 「シゲ…おそろしい子!」(長島茂雄)・「キヨ…おそろしい子!」(清原和博)・「カズ…おそろしい子!」(三浦カズ)・「ケイ…おそろしい子!」(錦織圭)・「白鵬…おそろしい子!」(白鵬)
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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