2014年11月19日、インターネットを仕事中に自由に見られる職場のあちこちで、女性たちが静かにショックを受けていた。あるニュースが飛び込んで来たからだ。「西島秀俊、結婚」。これによって、しばらく何も手につかなくなる女性が続出したという。「西島ロス」である。サイバーエージェントによる女性向けアプリ『GIRL’S TALK』が、12月に公開した「女性が選ぶ2014年女の流行語」。「西島ロス」は、「昼顔妻」「ありのままの」に次いで3位に食い込んだ。昭和のような国民的スター不在のいまの時代、芸能人の結婚がここまでインパクトを持って迎えられるのも珍しい。

 西島秀俊といえば、かつてフジテレビ系の月9ドラマ『あすなろ白書』などで注目を浴びるも、当時のアイドル的な売り方に難色を示したとされている。それまでの事務所を辞めテレビ出演の少ない時代も地道に映画のキャリアを重ねていたが、ドラマ『ストロベリーナイト』などでついにブレイク。端正な顔と、大河ドラマ『八重の桜』で見せた鍛え上げた美しい肉体で女性たちを虜にしていたが、なにせその中身は、一人で映画館に通い詰め、演技を勉強するというような極端な仕事好き。非社交的なわけでないにせよ、自分の時間を大事にする「結婚できないタイプ」と考えられていた。だから、ファンの女性たちもすっかり「安心」していたわけで、反動が大きいのだ。

 ちなみに、西島秀俊や向井理(むかい・おさむ)、イケメンたちが次々と結婚する状況で、「最後の砦」といわれているのが佐々木蔵之介だそうだ。やがて「佐々木ロス」は来るであろう。後釜になれるいい俳優は、若手から育っているだろうか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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