2007年の登場(2008年版)以降、大都市の名店が星に一喜一憂している「ミシュランガイド」。三つ星は当然ながら値段の張るレストランが多く、おいそれと立ち入れない雰囲気を感じる「一般人」も多いことだろう。だが2015年版は、試しに購入してみる一般人が多くなるかもしれない。ある「和食」の紹介が、マスコミの注目を集めたからだ。いまや海外に進出し、スシに匹敵する人気店も多い「ラーメン」である。

 新しく22店のラーメン店が紹介されたのは、東京エリアのミシュランガイドの「ビブグルマン(Bib Gourmand)」という部門。星は付かないものの、5000円以下で美味しい料理を出す「コストパフォーマンスがよい店」を紹介する。ビブグルマンの「ビブ」とは、ミシュランのタイヤのキャラクタ-「ムッシュ・ビバンダム」の愛称。このカテゴリーは、星の代わりに「ビブ」がペロリと舌を出した顔のマークが記載される。

 2014年版ではフレンチとイタリアンの紹介だけだったビブグルマンも、2015年版では「和食」の店が加わった。「和食」といってもジャンルの幅は広い。洋食、お好み焼き、居酒屋、うなぎ……、その一つが「ラーメン」なのだが、都内中野の人気店「中華そば 青葉」に代表されるような、「あっさり系」の枠内におさまった印象だ。生粋のマニアならば、もっと多様性を好むかもしれない。とはいえ、ミシュランガイドは国内だけでなく、国外からの観光客も大いに参考とするもの。そんな海外のラーメンファンが店を選ぶ際に、一つの指標ができたといえそうである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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