漢字の字面だけを見たら『枕草子』みたいに高尚な感じもしなくはないが、タネを明かせば単なる「女装する男子のこと」を指す造語で、「ジョソコ」とカタカナ表記することもある。

 性転換手術前、あるいは手術後のニューハーフが女装子に走るのは、まあ自然の流れだが、最近は、たまたま女性的な容姿を持って生まれた男子(骨格が細い・体毛が薄い・美白……など)が、女子にしかできないお洒落やメイクを楽しむため、コスプレ気分でする“高度な女装ケース”も増えている。そして、そういうニュータイプの女装子は、性癖の面ではノン気(のんけ)であるケースが多く、基本は女装に耐えうる美男子ゆえ滅法モテて、“同性的な親近感”を武器にガンガン女子を喰っていたりする。

 昨年の12月に映画化され公開された東村アキコの人気漫画『海月姫(くらげひめ)』にも「鯉淵蔵之介(映画では男性俳優の菅田将暉(すがた・まさき)が好演。わりとキチンと“女子に化けて”いた)」なる女装子が登場しており、今後ブームに拍車がかかると予測される。

 ただ、「異性装を趣味とする男性」は、昔から一定数は実在していたのも事実……だが、まだ女装技術が発展していなかった当時のソレは、青いひげ剃りあとや乗っけたようなカツラや毒々しく真っ赤なルージュやスネ毛や硬そうな筋肉が痛々しく、ほとんどが“コント装”にしか見えなかった。やはり、今の20代あたりから食べ物の違いとかで日本人の体型・体質は劇的に変化したのかもしれない。

[類似語]女形 、装飾男子
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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