日本を取り巻く安全保障の環境が変わりつつあるが、これもその一環ということか。

 農水省は、2015年3月「食料・農業・農村基本計画」をまとめた。計画は今後10年間の日本農政の指針となるもので、この中で、新たな指標として「食料自給力」が盛り込まれた。

 これは、戦争などで農産物の輸入がぱったり途絶えた場合、国民1人当たり1日に必要とされるカロリー(2147キロカロリー)に対し、国内生産分でどれだけ賄えるかを示すものだ。

 具体的には、コメや麦を中心に作付けする場合やイモ類を中心とする場合など4つのケースに分けて試算。それによると現在の供給量では、イモ類を中心にした作付けで、やっと1日に必要なカロリーをクリアできる状況という。毎日イモばっかり食べてやりすごせるとは思わないが、「食料安全保障」上は軽視できない指標と言える。国民に対する啓発の意味合いもあるのだろう。潜在的な自給力を具体的な数値で示すことで、食料自給についてきちんと考えてもらいたい、ということだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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