絶滅が危惧されるニホンウナギ。農林水産省はこれまで「届け出制」だったニホンウナギの養殖業者を6月から「許可制」に変更する。ウナギの稚魚(シラスウナギ)の乱獲を防止し、養殖池への投入量をより厳しく規制することで資源回復につなげる狙いがある。無許可で養殖した業者には「3年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられるという。

 水産庁の資料によると、国内のシラスウナギの年間漁獲量はかつて200トンを超すこともあった。ところが2013年には約5トンまでに激減した。乱獲や生息環境の悪化などが要因とされる。1キロ当たりの平均取引価格も2003年に16万円だったものが2013年は248万円にまで高騰している。まさにウナギ登りである。2014年は漁獲量が約17トンに回復したが、減少傾向に歯止めがかかったとは言い難い。

 ウナギなんて高くて年に1、2度しか口にしなくなったが、土用の丑の日にウナギのかば焼きを食べるという日本食の文化を守るためにも許可制はやむを得ない措置だろう。卵から孵化させる完全養殖の実用化にも力を入れてほしい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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