新潟市古町(ふるまち)の商店街にある「水島新司まんがストリート」は、ドカベン、あぶさんなどの銅像が立ち並ぶ地域のシンボル的存在。水島氏の出身が新潟市である縁から、地元の活性化を目的として平成14年に設置されたものだ。ところが今年3月になって、水島プロダクション側がなぜか撤去を申し入れたと報道された。存続のピンチを迎えたドカベン像だが、5月現在はまだその姿をとどめている。撤去の理由に関して様々な憶測が乱れ飛んでいるが、そのうちの一つが、「ケツバットガール」のせいではないかというものだ。

 ケツバットガールとは、バットを構えた銅像と、女性モデルを被写体としたパフォーマンス。お尻をバットで打たれたような派手なポーズをとって、それをカメラに収める。文章で書いてしまえば何ということもないが、躍動感の芝居とでも表現したらいいだろうか、その写真はなかなかに魅力的なのである。Twitterなどで注目された。仕掛け人は、フリーペーパー『沖縄美少女図鑑』などの仕事で名高い写真家・西原伸也氏だ。

 テレビでも取り上げられるなど、ケツバットガールのおかげで、銅像自体も県外からの知名度が高まりつつあったが、地元では動揺が広がっているようだ。今回の撤去騒動、商店街の振興組合側と水島氏側とのあいだでどんな交渉がなされているのか、まったく情報が出ない。だが、理由は以前からの管理問題という見方もあり、「ケツバットガールが作家側の怒りにふれた」と判断するのはいささか早計のようである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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