ファミレスが「少しだけ飲みたい、それほど深酒したいわけではない」というニーズをくんで、メニューに反映させていることは以前にも「コトバJapan!」(「ファミ飲み」)でふれた。こうした傾向はファミレスだけではない。昨今の外食産業全体が注目し、売上増に結びつけようとしているようだ。もはやブームともいえる「ちょい飲み」ビジネス。次に来るのは「コンビニバル」ではないかと言われている。

 「コンビニバル」の「バル」とはスペイン発祥で、昼は喫茶店、夜は居酒屋のように楽しめる店のこと。最近のコンビニでは飲食可能なスペースを設けた、専門的にいえば「イートイン」スタイルが増えているが、これは主要なターゲットである男性以外に、主婦やOLの利用を増やしたいという狙いがある。コンビニバルに期待が寄せられるのも、この流れ。気軽に入れるコンビニを「ちょい飲みの場」にすることができれば、女性おひとりさまのニーズをもっと引き上げられるかもしれない。

 2014年9月、ミニストップが日本橋に第1号店を設けた「cisca(シスカ)」が、この業態における嚆矢(こうし)となるのでは、と言われている。ciscaは「city small cafe」から来ている造語。酒やつまみの品揃えが豊富で、かつ明確に女性のお客を意識したものになっている。2015年2月には神田に第2号店がオープンした。男性ばかりの酒場に入ってまで「ちょっと一杯」は……と考える女性たちにとって、コンビニバルは気になる存在となっていくはずだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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