米国とキューバが関係改善に向けて動いている。2015年4月には米国のオバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が中米・パナマで会談した。両国首脳の会談は1961年の国交断絶以来初めて。

 キューバはカリブ海の島国で人口は約1100万人。米フロリダからわずか150キロ南方、いわば米国の裏庭に位置する。砂糖や葉巻の産地で知られるほか、野球王国として日本のプロ野球でも出身選手が活躍している。両国は冷戦下の1959年のキューバ革命を機に対立するようになり、1961年に国交断絶、1962年にはキューバに旧ソ連が核ミサイル基地を置こうとするなど一触即発の事態に発展。「キューバ危機」と呼ばれた。 冷戦終結後も敵対関係は続いたが、ここにきて和解に動いた理由は何か。

 まずキューバ側としては、長らく続く景気低迷からの脱却への期待がある。米国と国交正常化すれば、米企業の投資が期待でき、観光客もどっと押し寄せる。

 米国としてもオバマ大統領の任期終了が2017年1月に迫っており、オバマ氏としては、ここで歴史的な外交業績をあげたいところだ。さらに言えば、ウクライナ問題で米ロ関係が悪化しており、ロシアがキューバに接近するのをけん制する思惑もある。

 米国務省は2015年5月末、キューバに対する「テロ支援国家」指定の解除が発効したと発表した。指定解除でキューバへの経済援助禁止措置や融資規制などが解除される見通し。国交回復に向けて一歩前進した格好だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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