金融機関の口座で一般に10年以上、お金の出し入れがなく、かつ口座の持ち主・預金者と連絡がとれないものを「休眠口座」という。忘れたり、使っていた人が亡くなったり、あるいは転居でそれまで住んでいた地元の地方銀行の口座を使わなくなったりして生ずることが多い。どこの家庭でも一つや二つあるのではないか。

 毎年この休眠預金が500億~600億円分も発生しているというから驚きだ。銀行は10年以上すぎても返金に応じているが、会計上は利益に計上している。

 財政事情が厳しい折、このお金をむざむざ金融機関に持っていかれるのは誰もが納得がいかないところだ。そこで、休眠口座の活用が浮上したわけだ。

 自民党は休眠預金を福祉や教育事業支援に活用する「休眠預金活用法案」の国会提出を検討している。

 具体的には政府や金融機関が出資する「預金保険機構」に各金融機関から休眠預金を回収し、そのうえで新設する「指定活用団体」に移管する。この「指定活用団体」が資金を配分する仕組みだ。

 問題は、配分先や金額をどう決めるか。まさか担当者のさじ加減で決めるわけではないだろう。政治家の口利きなんか入り込む余地のないよう、きちんと透明性を確保してほしいものだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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