幼いころに親しくしていた男女の友だちが大人になってする結婚のこと。

 最近、この「幼なじみ婚」なる言葉がテレビの情報番組などの媒体で取り上げられたりしているが、筆者周辺から判断するかぎり、「スマ婚」(注1)「ハレ婚」(注2)「年の差婚」「格差婚」「同性婚」……と、いろんなタイプの結婚に対して「~婚」といちいちネーミングしてしまう近年の風潮によって再カテゴライズされただけで、とくにソレが流行中という印象はない。

 かの有名な青春野球漫画『タッチ』(作画:あだち充)を代表とする幼なじみ同士のゴール・インは、「初恋相手が結婚相手」「おたがいの気持ちがブレ続けなかった」という意味では“恋愛の理想型”と崇(あが)められたりもするが、一方で「新鮮味がなさすぎて、結婚してからの浮気がこわい」などのリスクも指摘されている。

 いずれにせよ、何十年、何百年も前から幼なじみ婚のケースは、ある一定数の比率が実在していたわけであって、あらためて今、フィーチャーする意義は「恋愛という行為に億劫(おっくう)さを感じる傾向の強い平成生まれの若者たちにとって、気心の知れた幼なじみは恰好の結婚相手」となりつつあることくらいなのではなかろうか?

※編集部注
(1)「スマ婚」:費用が低予算で済むスマートな結婚式。
(2)「ハレ婚」:一夫多妻を認めるハーレム婚。コミックのタイトルでもある。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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