夏の働きのあり方が大きく変わるのだろうか。

 政府広報の説明によると「日照時間が長い夏に、朝早い時間に仕事を始め、早めに仕事を終えることで、まだ明るい夕方の時間を有効に活用し、生活を豊かにしようという取り組み」だそうだ。伊藤忠商事や東急電鉄など一部民間企業で導入済みだが、この夏、国家公務員が率先して取り組んでいることで広く知られるようになった。

 国家公務員の場合、7、8月の2か月間、始業時間と退庁時間をそれぞれ1~2時間繰り上げる。中央省庁の場合、国家公務員約44万人のうち、初日に約2万3000人が参加。早く帰宅して家庭のだんらんを楽しむのもよし、語学研修や友人との飲み会などプライベートタイムを満喫するもよし。テレビで中央省庁の公務員のお父さんが家で子どもと会話しながら夕食を囲んでいる様子を報道していたが、ワーク・ライフ・バランスの改善につながればいい。

 ただ、問題もなくはない。例えば「早朝出勤したのはいいが、結局仕事がこなせず、残業に追い込まれないか」「形ばかりの早めの退社で仕事の持ち帰りが起きることはないか」「公務員が率先してゆう活するのはいいが、民間企業の公務員相手の仕事で、しわ寄せが来ないか」「残業が減るのはいいが、賃金削減につながらないか」等々、いろいろ指摘がある。

 かけ声はいいが、定着に向け肝心なのは、その運用方法である。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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