国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)。その内容は「どの回も気軽に見られるファミリードラマ」と思われていそうだ。ところがじつのところ、シナリオライターの筆が滑ったのでは……と思えるほどエキセントリックな話が、突如として飛び出してくる。いま、その手の「ヘンな回」で話題を集めているのが、原作には存在しない「堀川くん」なるキャラクターだ。

 もともとはワカメが気になっているクラスメイト、というポジションだった堀川くん。当初の好男子的な描写から一転して、最近では暴走キャラとしてサザエさんワールドを振り回している。「子どもの形に見える塀のシミを弟と称してキャッチボールする」「養鶏場からもらったヒヨコを“わかめ”と名付け、生んだ卵をワカメに食べさせようとする」「うちで飼うとしかられるからと、磯野家に侵入して床下でオタマジャクシを飼う」。登場時から「天然」は堀川くんの重要な要素だったようだが、もはやその域を越えて、こわい。ネット界隈で「サイコなキャラ」としていじられているゆえんだ。

 どうやら、制作陣も巷間の堀川くん評をキャッチしているフシがある。今後も確信犯的に話題を提供してくれそうだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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