2015年8月、スターバックスがボトル缶コーヒー市場に新商品を投入した。サントリーと共同開発した「ブラックコーヒー パイクプレイス ロースト」がそれだ。「パイクプレイス」は、スタバが創業したアメリカ・シアトルの「パイクプレイスマーケット」から来ている。商品名から、スタバとしてもかなり気合が入っていることがうかがえる。

 現在、ボトル缶に入ったコーヒーが小売店を席巻している。キャップがほかの清涼飲料水のボトル缶よりも大きいコーヒー向けのボトル缶は、通常の缶コーヒーの飲み口よりも香りを存分に楽しめる。よって、ブラックに関して、缶の「弱点」をおぎなうことになるのだ。特に2012年はブームとなり、業界にとって大きなトピックとなったが、その後競合が進んで、ブラック以外の商品も模索されるようになった。が、やはり特性からいって成功しているとはいいがたい。もともと、缶コーヒーは「労働する男性」向きの商品とされ、ボトル缶ならばなおのこと「甘さ」は求められまい。消費者の幅を広げるべきかどうか、難しい検討材料だ。

 とはいえ、ブラックのボトル缶コーヒーという市場自体は、まだまだ伸びる傾向と見られている。2015年に入って、各メーカーが商品ラインナップをさらに拡充する動きを見せているのだ。サントリーの場合、冒頭の「スタバ」も要注目だが、「BOSS」ブランドからトクホ(特定保健用食品)の「ボス ブラック」をリリース。これらの攻勢の行方が、コーヒーファンには気になる。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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